「須佐之男」の「須佐」は「SWSYA」(ܣܘܣܝܐ)

 系譜としては出てこないが、「須勢理毘売」は「須佐之男」の娘として描かれている。「火照/火須勢理/火遠理」が「日の出/南中/日の入り」に比されるならば、「須勢理」は「南」に対応する。十二支で言えば「午」である。「午」の字義は「馬」とは関係ないが、歴史的に「午」は「馬」と見なされてきた。


   ・「須佐之男」……「SWSYA」の男……「馬」
   ・「須勢理毘売」……「火須勢理」……「午」(南方)


 その「馬」はシリア語で「SWSYA」。サ行の子音の歴史的変遷に関しては諸々の議論がある。「須佐」の「佐」は今日の「サ」とは異なる。仮に「SWSYA」が倭音化して「須佐」に写されたとすると、「須勢理毘売」の父は、「馬」(即ち午)であるところの男、ということになるが、これは理に適っている。


   牛宿三星。形如牛首。(摩登伽経)
   無容宿者。有三要星。其形所類。如牛頭歩。(舍頭諫経)


 ところが、摩登伽経や舍頭諫経において、特に二十八宿の「牛」が「南方」や「名称」に結びつけられている。その脈絡において、「御名方」という表記は「牛」を標示する。「牛主南方」(摩登伽経)の「南方」は十二支で言えば「午」である。即ち「馬」(SWSYA)である。「形如牛首」にも「其形所類如牛頭歩」にも作られる二十八宿の「牛」が「牛頭天王」であれば、もはや「須佐之男」が「牛頭天王」に同一視される脈絡は自明だろう。

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