2010-01-01から1年間の記事一覧

日本書紀の「梅豆羅」について

いわゆる二十八宿に似たものは、かなり広範囲の文化圏で知られる。その点に関し、たとえば次のように説明される(http://www.1978.jp/001/0.html)。 日本でも、キトラ古墳や高松塚古墳の星宿図が話題になっていますが、 この二十八宿と非常に類似するものは…

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古事記の「刑部」のテクスト上の機能について

前項では、「刑部」を「オサカベ」と訓むのは、シリア語(Syriac)からの借用語「OΣQ」(罪を与える意)に拠ることを述べた。しかしながら、古事記において、「大后」(忍坂之大中津比売)の名前の由来は、あくまでも「OSQ」(態度が堅い意)である。古…

二つの「オサカ」について──【ܥܣܩ】と【ܥܫܩ】──

古事記の中に、聊か奇妙な御名代の記事がある。「蝮之水歯別命」の御名代が「蝮部」であるのは理解できる。「葛城之曽都毘古之女、石之日売命」の御名代が「葛城部」であるのも理解できる。だが、「大江之伊邪本和気命」の御名代が「壬生部」であるのは意味…

角界の源流を探る(2)──「阿多隼人」考──

古事記中、「阿多」の文字列は、いわゆる音仮名表記として、本文や歌謡の中にも出てくる。以下に、固有名詞を除く「阿多」の文字列を網羅する。この中で最も多いのは、「惜しい」という意味の「あたら」(形状言)、および「あたらし」(形容詞)である。 ・…

「大隅隼人」の「大隅」について

日本書紀(天武天皇十一年)において、「阿多隼人」と「大隅隼人」は、相撲をとる。負けの立場は「阿多隼人」、勝ちの立場は「大隅隼人」。したがって、同日の前項で述べたように、「隼人・曽婆加理」(山田之曽富騰)は、「阿多隼人」に相当する。 ところが…

角界の源流を探る(1)──「久延毘古」考──

日本書紀の垂仁天皇七年「秋七月己巳朔乙亥」(7月7日)の箇所に、今日の相撲のルーツに当たる事柄が載るが、ここで「相撲」が「捔力」に作られるのは、いわゆる月宿傍通暦(http://d.hatena.ne.jp/ywrqa/20090821/1250811501)において、「7月7日」が【角】…

古事記の「墨」は「黒」ではない

古事記の崇神天皇条に注目すべき記事が載る。「墨坂神」に「赤色楯矛」を祭り、「大坂神」に「黒色楯矛」を祭り、云々と出てくる。この場合は、「墨」に「赤色」(Syriacでは「SWMQA」)が対応し、「大」に「黒色」(Syriacでは「AWKMA」)が対応する。 又於…

「女鳥」も「隼人」も智恵を持つ

異なる列音の母音が重なった場合、「相対的に狭いほうの母音」が脱落する(第一原則)。また、「CVCV・VCVCV」において、一番目のVと二番目のVが同じ列音の場合は、二番目の母音が三番目の母音より広くても、二番目の母音が脱落し、三番目の母音が残る(第二…

「山田之曽富騰」(記)と「匝布屯倉」(紀)の繋がり

まず第一に、古事記の「山田」は3箇所に限る。上巻に「於今者山田之曽富騰者也。此神者、足雖不行、尽知天下之事神也」と出てきて(1箇所)、その後は、下巻の二つの系譜記事に「春日山田郎女」が出てくるのみ(2箇所)。このような場合は、古事記というテク…

古事記の「飯豊」について

於是、問日継所知之王、 市辺忍歯別王之妹、忍海郎女、亦名飲豊王、 坐葛城忍海之高木角刺宮也。 爾、山部連小楯、任針間国之宰時、 到其国之人民、名志自牟之新室楽。 (……中略……) 爾即、小楯連聞驚而、 自床堕転而、追出其室人等、 其二柱王子、坐左右膝…

古事記の「女鳥」について

安閑天皇(広国押建金日)と宣化天皇(建小広国押楯)は兄弟である(母は「尾張連之祖、凡連の妹、目子郎女」と記される)。名前に共通して「広国押」と「建」を含むので、前者の名前の固有部分は「金日」、後者の名前の固有部分は「小楯」である(これは、…

「春二月」(翼月)は「ܦܠܓܘܢ」と訓める

日本の「秋八月」は「Bhādrapada」(室月)に当たり、セム系の文化圏の「AB」に当たる。大体それは太陽占星術で言う「おとめ座」に当たる。その「おとめ座」は死海写本に「B十WL十A」(いわゆる少女の意味)と出てくる(2009-08-21の記事など参照)。この…

古事記の「天押帯日子」について

古事記の「春」は16文字。そのうち、14文字は「春日」(古事記というテクスト上の地名)として出てくる。残りの2文字は「春山之霞壮夫」として出てくる。後者は「兄号秋山之下氷壮夫、弟名春山之霞壮夫。」というように、秋春の対(pair)で登場する。 ・天…

「沙本」という未詳語について

古事記に「邪本」という文字列は七回出てくる。最初の二回は「袁邪本」という人名、残りの五回は「伊邪本和気」(いわゆる履中天皇)という人名である。こういう場合、古事記というテクストにおいて二人の人物はリンクされている(関連づけられている)と見…

於姓「日下」謂「玖沙訶」(ܚܫܘܟܐ)

古事記において、「闇」という文字は、10箇所に出てくる。そのうちの3箇所は、「天石屋戸」の場面(天照大御神が天石屋戸の内に隠れる場面)であり、残りの7箇所は、実のところ固有名詞中である(以下に列挙)。 【上巻】天之闇戸神、国之闇戸神、闇淤加美神…