「ܡܣܪܐ」(イルカ)が「ܝܘܪܩܐ」(イルカ)を造る話

       以下の稿は、7月12日の三つの稿の続きです。
       7月12日の稿をまずお読み頂ければ幸いです。
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 創世記のいわゆるアダムが形造られる場面の一文(シリア語の聖書)は以下の通り。ここで、仮に「A=2」のシステムが働いているとすると、「ADM OPRA」(529)は「YWRQA」(529)に重なる。「イルカ座」(摩登伽経は【虚】に作る)であるところの天皇を「伊波礼毘古」(神武)に作る脈絡が此処にあるだろうことは既に述べた。「伊波礼」は「OPRA」の音写である。
 また、「二人のハツクニシラス」という問題は、「YWRQA」(529)が「XYT」(529)に重なることにおいて理解できるということも既に述べた。「XYT」であるところの「Mrigasiras」(あるいは単に「Mriga」、摩登伽経は【觜】に作る)に当たる天皇こそ「御真木入日子」(崇神)である。もちろん、「ADM OPRA」(529)は「XYT」(529)にも置換可能ということになろう。


   WGBL MRYA ALHA LADM OPRA MN ADMTA。 [創世記 2-7]


 ところが、この一文を調べると、「ADMTA」(559)は「MQWRA」(559)に重なる。即ち「L」の後は「XYT」に置換でき、「MN」の後は「MQWRA」に置換できる。ここで「XYT」は月宿の【觜】だが、「MQWRA」の意味は「觜」(くちばし)。したがって、「觜」から「觜」を形造った、という同語反復の文脈が浮かび上がる。
 既に述べた通り、「Mriga」(鹿)であるところの「XYT」(529)が「YWRQA」(529)に重なるという意味で、「YWRQA」は「鹿」を含んで「入鹿」に作られるわけだが、その場合、むろん「入鹿」は「YWRQA」(529)であると同時に「XYT」(529)でもある。「觜」から「觜」を形造った、ということは、言い換えれば、「入鹿」から「入鹿」を形造った、ということである。


   ・だれが……「MRYA ALHA」(422)「MSRA」(422) ※動物の「イルカ」
   ・何を……「ADM OPRA」(529)「YWRQA」(529)「XYT」(529)
   ・何から……「ADMTA」(559)「MWTA」(559)「MQWRA」(559)


 ところが、不思議なことに、「MRYA ALHA」(422)は「MSRA」(422)に重なる。「MSRA」の意味は動物の「イルカ」。ということは、当該の一文は、「入鹿が入鹿から入鹿を形造った」という完全なる同語反復の文脈として理解される。当該の一文は、詰まるところ、「入鹿」を提示することに主眼があるのだろう。「YWRQA」(入鹿)であるところの「ADM OPRA」(伊波礼毘古)に主眼があるのだ。肝心なのは、その人物を記紀が初代天皇に据えている点である。

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