「ܝܘܪܩܐ」は「海豚」を含意する

 安閑天皇が月宿の【牛】ならば、天皇の並び順は「継体、安閑、宣化、欽明」、月宿の並び順は「斗、牛、女、虚」だから、両者の対比から自動的に欽明天皇は【虚】ということになる。ところが、もちろん月宿(牛宿を含めて28宿)は循環しているので、第29代の天皇(欽明)が【虚】ならば、第1代の天皇(神武)も【虚】、ということになる。西洋で言う「海豚座」である。


   ・「神倭伊波礼毘古」(神武)………「伊波礼」は「OPRA」(472)の音写
   ・「天国押波流岐広庭」(欽明)……「天」は「ΣMYA」(472)とも読める


 さて、古事記天皇の和風諡号のうち「天」を含むものは、意外なことに欽明天皇の「天国押波流岐広庭」に限る。いわゆる推古朝遺文などから、「天国押」の部分は「アメクニオシ」と読まれるが、重ねて「天」をシリア語(Syriac)で読めば、「ΣMYA」である。仮に「A=2」のシステムが働いているとするならば、その「ΣMYA」(472)は「OPRA」(472)に重なる。即ち「天」は「伊波礼」に重なる。


   BRYΣYT BRA ALHA YT ΣMYA。 WYT AROA。 [創世記 1-1]
   (※ここで第一文は「ΣMYA」で終わっている点に注意)


   WGBL MRYA ALHA LADM OPRA MN ADMTA。 [創世記 2-7]
   (※「MN」を「of」と見る場合、「OPRA」の前にも前置詞が必要)


 ところが、創世記のペシッタ訳を見ると、最初に「ALHA」は「ΣMYA」(天)を創造した、と言われ、また、「MRYA ALHA」は「ADM OPRA」(伊波礼毘古)を形造った、とも言われる。「OPRA」という名前の男において、その名前の「OPRA」(伊波礼)が「ΣMYA」(天)に重なるのである。このことは、「伊波礼」を負う神武天皇が「天」を負う欽明天皇に重なることに全く見合っている。


   1.「ADM OPRA」(529)は「YWRQA」(529)に重なる
   2.その一方、「伊波礼毘古」は「海豚座」(Delphini)
   3.ということは、要するに「YWRQA」は「海豚座」


 ここで重要なのは、さらに「ADM OPRA」(529)が「YWRQA」(529)に重なるという点である。そもそも、「YWRQA」という言葉は、動物の「イルカ」を意味するわけではない。しかし、「イルカ座」であるところの「ADM OPRA」(伊波礼毘古)が「YWRQA」(イルカ)に重なるという意味において、「YWRQA」(イルカ)は結局のところ「イルカ座」に他ならないのである。

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