「Rohini」が「長育宿」に作られる道筋

 二十八宿の【畢】に当たるインドのナクシャトラは「Rohini」。意味は「赤い」乃至「赤いもの」。ところが、大体において宿名を意訳に作る舍頭諫経において、その「Rohini」が「長育」とか「長養」に作られている。これは、サンスクリットからの単なる翻訳ではない。「長育」とか「長養」に作られる道筋は何か。


   ・見出し語……「ZWN」「ZN」
   ・能動分詞形……「ZAN」「ZYNA」
   ・意味……to feed, give food to, provide; to support, supply, sustain
   ・Pael態……「ZYN」
   ・意味……to supply with arms, to arm, equip
   ・方言形……「ZYWNA」「ZYNA」「ZYNTA」など


 アルファベットの【Z】の綴りには「ZY」「ZYN」「ZAY」「ZAYN」がある。原義は「武器」と言われるが、たしかに「ZN」のPael態が「ZYN」で、その「ZYN」からの派生名詞「ZYNA」に「arms」「weapons」などの意味がある。ところが、もともと「ZN」の原義は「to feed」(食物を与える、扶養する、などの意)。したがって、アルファベットの【Z】の原義、あるいはシリア語の文化圏における原義認識は、「養うこと」であったかもしれない。
 仮に7月6日の稿で述べた通りであれば、インドの「Rohini」は「ZY」(佐韋)である。さらに加えて、その原義が「養うこと」であれば、もはや「Rohini」に当たる月宿が「長育」とか「長養」に作られる道筋は自ずから明らかだろう。当該箇所において舍頭諫経は、「Rohini」を漢字に置き換えているのではなく、「ZY」(佐韋)の意味を漢字に置き換えているのである。

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