2009-06-21から1日間の記事一覧

「讃・珍・済・興・武」は「翼・軫・角・亢・氐」か

典拠はともかく、たとえば学研新漢和大字典の【亢】の項を見れば、「すっくとたちはだかる」という意味が載っており、「抗」に当てた用法、と記されている。主たる意味として「たかぶる」「たかい」が挙げられ、他には「傲慢な態度をとる」という意味も載っ…

「勾大兄王子」の「勾」について

日本書記の安閑天皇条に不思議な記事がある。安閑天皇の御名代について述べていると言うしかないが、どうして「牛を難波の大隅島と媛島松原に放つ」ことが「名を後世に伝える」ことになるのか、その点が分からない。安閑天皇の諱は「勾大兄」。他に「大兄」…

「佐波遅」(ܣܗܕ)は「Svati」を含意する

仮に「ΣX」というシリア語が「亢」という漢字を標示し得るが故に「沙本」という音仮名表記によって月宿(lunar mansion)の一つである「亢」を示すことを企図したのだとしても、それは古事記というテクスト上のことであって、もともと「ΣX」という言葉がシリ…

「甲斐の黒駒」について

インドの「Svati」は中国の「大角」に当たる星である。しかし、摩登伽経や後の宿曜経は単純化を図り、これを「亢」に作っている。即ち、「Svati」が「亢」に翻訳されることによって、結果的に「大角」が「亢」に同一視されている。そのため、漢訳仏典も含め…

「沙本」(ܫܚ)と「佐波遅」(ܣܗܕ)

6月18日の稿では「品牟都和気」(本牟智和気)について述べた。続いて「沙本毘売」の「沙本」(サホ)だが、これに対応し得る子音対は「SH」「SX」「SP」「ΣH」「ΣX」「ΣP」と少なくない。このうち特に注目されるのは「ΣX」と言える。Payne Smithの『Syriac …